武蔵野大学との産学連携でビニールクロスの使用量削減によるCO2排出削減量を数値化



武蔵野大学との産学連携でビニールクロスの使用量削減によるCO2排出削減量を数値化











15年前より原状回復時のクロスの部分張替えを実施



当社は賃貸物件の原状回復時のクロスの全面張替えに疑問を持ち、15年前から工事会社の協力を仰ぎながらクロスの部分張替えを実施してきました。

全面張替えと比較して、張替えが必要な箇所、洗浄や部分補修で済む箇所を確認して張替え作業を行うことは手間がかかることではありますが、工事費を抑えることができるため、オーナー様にもメリットがあると考えたからです。









武蔵野大学との産学連携でクロスのCO2排出量を可視化



そのような中、クロスの使用量を控えることがCO2排出量削減につながり、近年課題となっている地球環境問題への対策に貢献できるのではないかと考えました。もし、ビニールクロスの使用を削減することでCO2削減に大きな効果があるのであれば、当社だけでなく不動産業界全体で取り組んでいきたいという思いもあり、武蔵野大学との産学連携で、ビニールクロスのCO2排出量を可視化する取り組みに着手。

検証は実際に原状回復工事を行う物件を対象に実施しました。ビニールクロスの使用量だけでなく、廃棄の際に発生する輸送などに対するCO2排出量も加味して算出しました。

磯部先生をはじめとする武蔵野大学の研究室の皆さんが作成したツールを使用し算出した結果、原状回復時のビニールクロスの使用を1㎡抑えることで、0・412kg-CO2の排出量削減に貢献できるということが確認できました。







51・40㎡の住戸のクロス張替え量25%削減で18・5kg-CO2削減



当社ではクロスの汚れの状況を見て張替え、洗浄、塗装、対応無しの4パターンで、次の空室募集に問題が無いことを前提に決めていきます。今回の物件は間取図のピンクの部分の張替えは不要と判断。約45㎡分のクロスを張替えなしで対応し、18・5kg-CO2の削減につながりました。この値は7・9リットル分のガソリン使用削減と同効果になります。乗用車であれば約80km走行分を削減したのと同じ削減効果です。

ほとんどの賃貸物件は壁紙にビニールクロスが使用されています。特にファミリー物件など、部屋数の多い物件ではその使用量が多く、かつ、部屋ごとに張替えの有無を判断できることから、大きな削減効果を出せると考えます。

この部分張替えの取り組みが不動産管理業界に広まることで、多くのCO2削減につながると考えられます。今後はこれを業界に広く周知し、この取り組みを広めていく計画です。
















株式会社 市萬

宅地建物取引士 公認 不動産コンサルティングマスター 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中澤 一世




大規模修繕成功の第一歩は建物劣化診断から



大規模修繕成功の第一歩は建物劣化診断から











大規模修繕成功の第一歩は建物劣化診断から



建築費の高騰や空室の増加、環境への配慮などから、近年、建物の長期活用が求められるようになりました。それは、賃貸物件も例外ではありません。

建物を長期活用するために重要なのが大規模修繕です。ですが、工事業者に見積もりを頼むとかなりの金額が提示され、実施をためらってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでお勧めしたいのが、見積もりを取る前に、建物の劣化診断をすることです。

私たちも病気になったとき、いきなり手術は行いません。さまざまな検査を行ったうえで、治療方針を決定します。それと同じで、建物もきちんと検査をし、どこが悪いのか、どう悪いのかを確認したうえで、必要な箇所に必要な修繕を行うわけです。









当社では、診断後の報告書に劣化箇所の評価を左記の3段階で記載しています。評価によって緊急度がわかるので、修繕の優先順位をつけ、必要なところから予算に合わせた修繕が可能です。

建物の築年数が10年を超えている、雨漏りや外壁のタイルが欠けてきた、そのような状況の建物をお持ちであれば、大規模修繕を行う前に建物劣化診断を実施し、計画的な修繕で長期活用を目指しましょう。








大規模修繕 現地確認の様子



株式会社 市萬 賃貸事業部 宅地建物取引士


宮澤 慎之介





空室対策にリノベーションを活用する方法とは?進め方や成功事例を解説



空室対策にリノベーションを活用する方法とは?進め方や成功事例を解説






「空室対策でリノベーションを検討したい」
「リノベーションをしたいが、何から始めればよいかわからない」

 

賃貸経営において空室対策は重要な課題ですが、単なる原状回復ではなく、戦略的なリノベーションを行うことで、入居率の向上や賃料アップが期待できます

 

本記事では、賃貸不動産の空室対策としてのリノベーションにフォーカスし、具体的な進め方や成功事例をご紹介します。リノベーションの効果を最大限に高めるポイントを押さえて、収益性の向上につながるリノベーションを実現しましょう。

 

 

リノベーションは空室対策に有効な手段


 

リノベーションとは、既存の建物に対し大規模な改修を施し、デザインを刷新したり、設備機能を向上させたりすることを指します。
空室対策としてリノベーションを行う最大の目的は、 物件の魅力を向上させ、入居希望者に「住みたい」と思われるようになることです。数ある空室対策の中でも、リノベーションは募集期間の短縮だけでなく、家賃アップも期待できる効果的な施策のひとつです。

 



近年では 「リノベーション」という言葉の認知度が高まり、リノベーション物件に対する入居者の関心も高まっています。そのため、「リノベーション済み物件」として募集を行うことで、他の物件との差別化が図れ、より良い印象を与えることができます。

 

 

費用対効果を考慮した空室対策リノベーションの進め方


 

賃貸物件の空室対策リノベーションには、通常の原状回復工事に加えて追加の投資(費用)が発生します。しかし、賃貸経営は事業であるため、かけた費用は適切に回収し、収益向上につなげることが重要です。無駄な投資を避け、最大限の効果を得るためには、計画的にリノベーションを進めることがポイントとなります。

 

ここからは費用対効果を考慮した空室対策リノベーションの進め方を解説します。

 



 

 

①ターゲット層・ペルソナの設定


 

まず、どのような入居者をターゲットとするのかを明確にすることが重要です。ターゲット層によって、設備・間取り・内装デザインの方向性が大きく変わります。
ターゲット層を設定する際は、次のような方法で入居者ニーズを分析しましょう。

 

  • 現入居者の属性を調査(年齢・家族構成・職業・年収・勤務先など)

  • 過去の内見者、検討者の属性を確認

  • 近隣の競合物件の入居者層をリサーチ


 

 

②ターゲットに合わせたリノベーション方針の策定


 

ターゲット層が決まったら、それに合わせた空室対策リノベーションの方向性を策定します。リノベーションには以下のような種類や選択肢があります。

 

  • 専有部リノベーション(住戸内のリノベーション)

    • 内装のリニューアル(クロスやフローリングの貼り替え、デザイン変更)

    • 間取り変更(和室から洋室、2DK→1LDKなど)

    • 設備更新(キッチン、浴室、トイレなどの交換・グレードアップ)




 

  • 共用部リノベーション(建物全体の価値向上)

    • 外壁やエントランスの改修(塗装、タイル張り替え、デザイン変更)

    • 共用施設の改善(郵便受けや宅配ボックスの設置、照明の変更)




 

 

③概算で採算性の確認


 

リノベーションの方向性が決まったら、すぐに詳細な見積もりを取るのではなく、 概算費用を基に採算性を確認 しましょう。リノベーションには通常の原状回復工事に加えて投資(費用)が必要ですが、その費用を適切に回収できるかどうかがポイントです。

 

以下の計算式を活用すると、費用対効果を簡単に試算できます。当社では、投資利回りが12%以上を一つの目安としています。

 



 

また、 税引後のキャッシュフローシミュレーション を行い、時間経過を考慮した採算性を確認することも重要です。もし採算性が著しく低い場合は、リノベーションの方針を再検討し、より収益性の高いプランに変更しましょう。

 

 

④詳細見積り・プラン設計


大まかな採算性の確認が取れた段階で、詳細のプラン設計と見積りを開始しましょう。

 

 




 

 

専有部リノベーション事例


 

和室の柱の風合いを活かした和モダンリノベーション


 

<物件概要>

  • 構造等:木造2階建

  • 建築時期:昭和51年6月


 

<リノベーション内容>

古めかしさが目立っていた和室を、あえて和の風合いを活かしたカラーデザインでリノベーション。和室から洋室へ変更し、紺色のアクセントカラーとダークブラウンの色合いを取り入れることで、落ち着きのある古風な和の趣を演出。和の魅力を活かしながら、現代のライフスタイルにも馴染む空間へと生まれ変わるリノベーションを実施しました。

 

<結果>

  • 月額賃料27,000円アップ


 

<BRFORE>



 

<AFTER>



 



 

 




 

 

無垢材の床を使用し、飽きのこないナチュラルテイストのリノベーション


 

<物件概要>

  • 構造等:鉄筋コンクリート造3階建

  • 建築時期:昭和49年3月


 

<リノベーション内容>

築50年が経過し、内装の古さが目立っていた物件をリノベーション。無垢材の床と白い壁紙を組み合わせることで、温もりのあるナチュラルテイストの空間に生まれ変わらせました。さらに、キッチンやトイレなどの水回り設備も一新し、快適性を向上。シンプルでありながら上質なデザインが、長期的な入居を促す住まいを実現しました。

 

<結果>

  • 工事中に入居申し込みを獲得

  • 月額賃料 約70,000円アップ


 

 

<AFTER>



 



 

 




 

 

共用部リノベーション事例


 

周辺の緑からカラーを採用し、自然と調和する物件に


 

<物件概要>

  • 構造等:軽量鉄骨造3階建

  • 建築時期:平成4年3月


 

<リノベーション内容>

建物全体をホワイトを基調としたカラーリングに変更し、アクセントとして周辺の緑から抽出したグリーンを玄関ドアや階段に採用。周辺の自然と調和しながらも個性が際立つリノベーション物件へと生まれ変わりました。

 

<結果>

  • 入居率が90%前半から97%へ上昇

  • 月額賃料が2,000~4,000円アップ


 

<BEFORE>



<AFTER>



 



 

 




 

 

 

木をあえて残した、木造の温もりを感じる和モダン共用部リノベーション


 

<物件概要>

  • 構造等:木造2階建

  • 建築時期:昭和51年6月


 

<リノベーション内容>

木造ならではの風合いを活かし、和モダンな共用部リノベーションを実施。外壁は漆喰風の白に塗装し、窓や共用部の目隠しには蔵造り風の木製格子を採用。和の趣を際立たせるデザインに仕上げました。

 

<結果>

  • 月額賃料が27,000円アップ


 

<BEFORE>



 

<AFTER>



 

 




 

 

カラフルな4色木目調フェンスでかわいらしい共用部リノベーション


 

<物件概要>

  • 構造等:木造2階建

  • 建築時期:昭和62年4月


 

<リノベーション内容>

30代前後の若い夫婦をターゲットに、柔らかな4色のカラーバリエーションを取り入れた木目調の意匠フェンスを設置。ポストや物件の表示板も統一感のあるデザインに変更し、温かみのある印象をリノベーションで演出しました。

 

<結果>

  • 月額賃料10,000~20,000円アップ


 

<AFTER>



 






株式会社市萬
中小企業診断士 宅地建物取引士 2級ファイナンシャルプランニング技能士


山村 諭史





空室対策で陥りがちなミスとは?失敗を防ぐための回避策を解説

空室対策で陥りがちなミスとは?失敗を防ぐための回避策を解説










賃貸不動産の空室問題に悩む不動産オーナーは少なくありません。空室の増加は収益の減少に直結するため、手早く適切な対策が必要です。

 

本記事では、空室対策で陥りがちなミスと、その回避策を解説します。無計画な対応を避け、戦略的に空室対策を進めることで、より高い成果を得ることができます。

 

 

 

1.空室対策の最終ゴールを明確にしない


 

空室対策を進める際には、「いつまでに、どのような状態を目指すか」というゴールを明確に設定することで、より効果的な具体的アクションを導き出すことができます。

単に「空室を埋めたい」と考えるだけではなく、

 

  • 家賃水準はいくらを目標にするのか

  • 募集期間や入居率はどの程度を目標にするのか


 

といった具体的な数値目標を設定することで、実行すべきアクションが明確になります。

 

例えば、「家賃を前回入居者から10,000円アップを目指し、募集から成約までの期間は2ヶ月とする」という目標を設定した場合、

過去の募集事例を基に目標家賃での成約見込みや想定募集期間を推定できます。その情報をもとに、

 

  • 家賃を向上させるためのリフォーム計画を検討する

  • 広告戦略や不動産会社への手数料設定を最適化する


 

といった具体的な計画を立てることが可能です。

空室対策を検討する際は、場当たり的なアイデア出しから始めるのではなく、まず 最終ゴールを明確にする ことが大切です。これにより、無駄なコストや時間を省き、より効果的な対策を講じられます。

 



 

 

 

 

2.原因を検証せずに空室対策を進める


 

空室対策の問題を抱えている場合、原因を分析せずに対策を講じても、十分な効果は期待できません。

例えば、「なかなか内見が入らない」という問題に対し、安易に「家賃を下げよう」「リフォームをしよう」といった表面的な対策だけでは、無駄なコストが発生する可能性があり、根本的な解決にはなりません。

 

空室対策を効果的に進めるためには、「商品力」と「営業力」 の2つの視点で原因を分析することをお勧めします。

 

  • 商品力:「住みたい」と感じてもらえる魅力のある物件になっているか

  • 営業力:物件の情報や魅力が検討者に十分に伝わっているか


 

 



 

 

以下にそれぞれのチェックポイントを揚げました。是非参考にしてみてください。

 

<商品力>のチェックポイント

  • 賃貸条件(家賃、敷金・礼金など)が市場に合っているか

  • 共用部の管理状況(清潔感・明るさ)は十分か

  • 専有部の内装・設備は競争力があるか


 

<営業力>のチェックポイント

  • 不動産業者間の情報ネットワークに空室情報が登録されているか

  • 不動産ポータルサイトに情報が適切に掲載されているか

  • 物件図面や掲載に過不足や誤りがないか

  • 仲介会社向けの報酬(広告料)が適切に設定されているか


 

尚、これらの原因分析を進める際は、提携している仲介会社や管理会社からのヒアリングも重要です。

情報交換を密に行い、本質的な問題を見出すことで、より効果的な空室対策を講じることができます。

 

 

 

 

 

3.複数の対策を検討せず、優先順位を付けない


 

空室対策にはさまざまな方法がありますが、それぞれ費用や効果が異なります。 その場の思いつきや感覚で対策を選ぶのではなく、

 

  1. 考えられる対策を洗い出す

  2. 費用対効果を比較する

  3. 優先順位を決めて実行する


 

というプロセスが重要です。

 



 

例えば、「空室期間を○○日以内に抑える」という目標を設定し、それに対する課題として「原状回復工事に時間がかかりすぎている」という点が挙げられたとします。

この場合、次のような解決策が考えられます。

 

<考えられる対策>

  • リフォーム事業者を変更する

  • リフォームプランを事前に定型化する

  • 工事に必要な設備・資材をあらかじめ確保しておく

  • 解約予告期間を長めに設定し、工事スケジュールを前倒しする

  • 原状回復と並行して募集を進める


 

各対策のコストと効果を比較し、最適な方法を選ぶことが重要です。

 

例えば、「原状回復工事と並行して募集を進める」や「リフォームプランの定型化」は、仕組み次第で低コストで実現可能です。一方、「解約予告期間を長く設定する」ことは、募集や契約に悪影響を与えるリスクもあるため、 効果とリスクのバランスを考慮しながら最適な施策を選択する必要があります。

 

空室対策の打ち手を決める際には、場当たり的に決めるのではく、掛かるコスト・費用と効果を考慮して検討しましょう。

 

 

 

 

4.空室対策の効果・成果を記録しない


 

空室対策を効果的に進めるには、実施した対策がどれだけ成果を出したかを定期的に評価し、記録しておくことが重要です。

蓄積した記録は、今後の空室対策を検討するうえでの貴重な財産となります。

 

<成果測定のポイント>

  • 数値での評価(例:入居率、空室期間、募集期間、広告反響率 など)

  • 定性的な評価(例:入居者や不動産会社からのフィードバック など)


 

記録を基に対策の効果を分析し、その結果を活かすことで、次回の空室対策の精度を高め、効果を最大化できます。

都心周辺エリアのファミリータイプ中心に賃料が上昇中



都心周辺エリアのファミリータイプ中心に賃料が上昇中








分譲マンション価格の上昇が賃貸相場にも影響を与えている


ここ数カ月、一部エリアの賃貸不動産の賃料が上昇しています。特に、都心部周辺エリアの好立地のファミリータイプについては、その傾向が顕著に表れています。


賃料アップの要因はいくつかありますが、その一つが分譲マンションの価格上昇です。今や東京23区の新築分譲マンションの平均価格は1億円を超えました。そのため、購入を考えていた層が購入を諦め、賃貸に流れてきているのです。都心の利便性を求めるパワーカップルなどが立地の良いエリアで質の良い賃貸マンションを求めるようになっており、賃料を高くしても借手が付くようになりました。










賃料の上昇が顕著なのは好立地、ハイグレード賃貸


賃料がアップしている物件の特徴を見てみると、立地の良いエリア、分譲マンション仕様の高品質な賃貸物件となっています。

物価上昇が見込まれる中、このような状況を踏まえ、当社ではより積極的な賃料アップの提案をしており、高値が狙える物件については、次のようなことを推奨しています。

①思い切った賃料設定をする

②改良工事で共用部、専有部を分譲マンションに近づける

③更に、今後賃料の上昇が見込まれる物件は定期借家契約とし、賃料上昇に柔軟に対応できる状態にしておく

実際、このような対策を行うことで、左にあるように高い賃料を実現した物件もあります。

いずれにしても、今後の為替変動を注視する必要がありそうです。









ただし、このような対策を取れば全ての賃貸物件の賃料がアップするかというと、残念ながらそうはいきません。ですから、採算性も考えながら、可能性のある物件に絞って取り組むことをおすすめします。まずは当社にご相談ください。









株式会社 市萬 賃貸事業部

二級建築士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、JSHI公認ホームインスペクター(合格者)

下田 晃大


長期視点で最適なご提案をいたします


「築年数が古い」「駅から遠い」など、さまざまな問題を抱えた賃貸不動産の課題分析および満室化に向けた提案や、建物長期活用のための建物メンテナンス提案を行う。







円安による不動産経営への影響



円安による不動産経営への影響









2012年頃は1ドル80円前後だったドル円相場は、昨年夏には倍の160円前後となり、現在も140円前後と以前に比べて円安水準が続いています。トランプ政権となり円安は緩和されつつありますが、まだまだ為替相場の先は見通せない状況です。そして、この円安は不動産経営にさまざまな影響を与えています。


円安による影響には、次のようなものが挙げられます。輸入資材の上昇による修繕費や建築費の上昇、海外からの投資増加による好立地の不動産価格の上昇、それに伴う好立地の分譲マンション住戸の賃料上昇などです。










円安は不動産経営にとってマイナスなだけではなく、プラスの面もあります。ですから、為替変動が不動産経営にどのような影響を与えるのかを把握しておくことが大切です。不動産の売買においては経済情勢をみながら買いのタイミングを見極め、慎重に行動しましょう。また、賃貸経営においては、円安による輸入建築資材価格の上昇で、物件の維持管理に必要な修繕やリフォーム工事の費用が当初想定していたより高額になる可能性があります。そのため、計画の変更を検討する必要があるかもしれません。


いずれにしても、今後の為替変動を注視する必要がありそうです。











株式会社 市萬 資産コンサルティング部

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

笠原 陽子







東京工芸大学工学部建築構法研究室と共同で ワンルームマンション長期活用の研究を実施



東京工芸大学工学部建築構法研究室と共同でワンルームマンション長期活用の研究を実施








建物長期活用を学生と考える産学連携の結果発表会を実施


当社では建物を長期活用するための取り組みの一つとして、2つの大学と産学連携を行っています。


一つは武蔵野大学工学部サスティナビリティ学科の学生と行っている「原状回復における脱炭素化の研究」。そして、もう一つが東京工芸大学工学部建築構法研究室の学生とともに行っている「ワンルームマンションの間取り変更を伴う長期活用に関する研究」です。


この度、東京工芸大学工学部建築構法研究室との研究結果がまとまり、オーナー様に向けたプレゼンという形で発表会を行いました。



ワンルーム賃貸の未来をつくる住戸を繋げて1住戸に再生


メインターゲットである若者減少に伴いワンルーム(1R)のニーズは大きく低下すると考えられており、その対策が急務です。その課題に取り組んだのが、東京工芸大学建築デザイン分野森田研究室との研究です。1Rの未来を見据え、2~3住戸を繋げて1住戸とし、新たな価値を作ることで長期活用を考えました。


学生との顔合わせは昨年4月。当社管理物件を研究対象とし、現地見学や当社にてミーティングを実施し、どのようなプランが作れるのか?採算はとれるのか? 学生とともに考えました。間取りプランは学生が、改修概算費用や賃料、事業性評価のためのキャッシュフローシミュレーションは当社で行いました。








学生ならではのプラン提案に1Rの将来性を感じる


学生のプランには広々とした土間や窓際にヌック(こじんまりした空間)を設けるなど、+αの空間を取り入れた提案が多く見られました。また、共用部を専有部に取り入れ、広さを確保するプランなど、学生ならではの発想が見て取れました。
物件オーナーからも「学生の斬新なプランが参考になったので、前向きに考えてみたい」というお言葉をいただいています。
今後の展開が楽しみです。











株式会社 市萬

宅地建物取引士 公認 不動産コンサルティングマスター 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中澤 一世







複数の診断書を活用し 賃貸経営を長期間成功に導く



複数の診断書を活用し 賃貸経営を長期間成功に導く









定期的な清掃や修繕、入居者対応など、やることが多い賃貸経営。もちろん、日々の対応は重要ですが、長期的な視点で賃貸経営を見ることも重要です。


例えば、いつ大規模修繕が発生するのか、費用は?キャッシュフローが厳しくなるのはいつ頃か、そもそも不動産経営は上手くいっているのか、相続税はいくらなのか。そのようなことを事前に知ることで、対策を考えることができます。


当社では2年前からさまざまな診断を活用した提案を行っています。実施しているのは左記にある5つの診断です。これらのデータを分析し、長期的視点でより良い提案につなげています。


業界の既成概念にとらわれず、他業界の経営手法を取り入れることで、新たな効果的なアイデアが生まれる可能性があります。











例えば、建物劣化診断によって大規模修繕工事の必要性が高まってきていることが事前に分かれば、その費用を準備することができます。また、キャッシュフロー診断をすれば毎年貯めておける額も予想できますし、借り入れをした場合の採算性も確認することができます。毎年の賃貸経営診断によって現状の課題と対策を見直していくことで、臨機応変に対応していくことも可能となります。











株式会社 市萬 賃貸事業部 課長

宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士

竹内 将人







築30年超建物所有のオーナー様必見!避けて通れない、給水・排水管修繕


築30年超建物所有のオーナー様必見!避けて通れない、給水・排水管修繕




大規模修繕を実施し、建物を長く活用しようとする賃貸オーナーが増えてきました。実は、建物長期活用のために大規模修繕と同じくらい重要なのが「給水・排水管修繕」です。

給排水管は人間で言えば血管と同じです。コレステロールなどで血管が詰まると身体に問題が起きるように、給排水管の汚れやサビを放っておくと、配管が詰まって水が流れない、穴が開き漏水するなどのトラブルにつながります。そうならないためには、維持管理(排水管洗浄など)や管内の現況確認が必要ですが、それだけではなく、給排水管には寿命があるため、適切な時期にリニューアルや交換などの修繕が必要です。

しかし、建物の外壁などと異なり明確に劣化を目視できないため、漏水などのトラブルがあって初めて、劣化を認識し対応することがほとんどです。

給排水管は一般的に30年~40年毎に修繕の必要があります。トラブルが発生してからでは入居者に迷惑がかかるだけでなく、修繕費用以外の費用が掛かる場合もあるので、築30年を過ぎたらぜひ一度、配管調査を実施することをお勧めします。定期的な修繕でトラブルを未然に防ぐことが、安定した賃貸経営にとっても重要です。

どうしたらよいのかわからない場合には、当社のパートナー会社とともに、修繕のご提案をさせていただきますので、ご相談ください。



種類によって異なる耐用年数


給排水管は建築時期によってトレンドがあり、使われている材質が異なります。材質によって寿命も異なるため、先ずは所有物件の給排水管の材料を確認することが大事です。ぜひ、専門家に依頼し確認しましょう。

給排水管の耐用年数は水質や使用環境によって左右されますが、おおよそ下記表のとおりです。
今は、劣化の進行が緩やかな樹脂系管材が多く使われており、修繕周期が長周期化しています。




給排水管修繕工事費用以外のリスク


給排水管の修繕の修繕を怠ると、修繕工事費用以外にも下記リスクが考えられます。

入居者避難時のホテル費用負担


漏水などで住めない状況になった場合、改修が終了するまでホテルなどに滞在してもらう必要あり。



汚損、破損した機器などの弁償費用負担


漏水などによる家財や電化製品などの損害に対する弁償費用が発生。



改修工事や入居者の避難中の賃料減や退去


改修工事終了まで、賃料収入無し。これを機に退去の可能性あり。



血管のように張り巡らされたアパート・マンションの配管



給水・排水管は部屋の中の床、壁の中に通されています。床、壁の中なので普段は見ることが出来ず、内装材を剥がさなければ見ることができません。場合によっては、自宅外となる下階の天井内を通しているケースもあります。



給水・排水管劣化事例



老化した給水・排水管はサビなどにより水の出が悪くなったり、穴が開いたりして漏水の牽引となります。また、鉄管は給水時に赤水(錆が混入した水)が出る事もあり、早急な修繕が必要です。




給排水管修繕には「更新工事」と「更生工事」があり、前者は配管を劣化しにくい新しい配管へ取替える工事、後者は使用中の配管内に樹脂膜を形成し延命を図る工事です。












空室期間の短縮にこだわる。他業界のプロセス管理手法を応用した空室対策アイデア


空室期間の短縮にこだわる。他業界のプロセス管理手法を応用した空室対策アイデア





「賃貸アパート・マンションの空室期間をなるべく短くしたい」
「空室期間短縮のために、他にできる対策はないだろうか」

本記事では、製造業や物流業で用いられるサプライチェーンマネジメントを参考に、プロセスの最適化を通じて空室期間を1日でも短縮するための空室対策アイデアを紹介します。

業界の既成概念にとらわれず、他業界の経営手法を取り入れることで、新たな効果的なアイデアが生まれる可能性があります。



賃料設定にこだわるか。空室期間にこだわるか。


賃貸アパート・マンションの収入は「賃料 × 入居率」で決まります。

理想をいえば賃料も最大限に高く、且つ、空室期間も短いことが望ましいですが、一般的には家賃条件と空室期間はトレードオフの関係になります。つまり、一方を追求するともう一方を犠牲になるという、二律背反の状態になりやすいということです。

例えば、募集賃料を高く設定しても、入居が得られず空室が長く続いたり、早期の退去に繋がると、入居率が低下して、結果的にトータルの収入は減少します。逆に、賃料を低めに設定すれば入居は早まるかもしれませんが、あまりにも安すぎると、収益全体が低減するリスクもあります。

このバランスの取り方はオーナーごとに異なりますが、賃貸不動産経営においては、賃料と入居率の調整が、トータルの収益を左右する非常に重要な判断となります。




賃料は相場に合わせ、入居率を高める空室対策を


最近では、インターネットの普及により、消費者が物件の価格情報を手軽に入手できるようになりました。不動産ポータルサイトや相場情報サイトの増加で、賃料相場の透明性が飛躍的に向上し、賃料に対する市場の理解が深まっているということです。

そのため、特にアパートやマンションなどの居住用賃貸物件では、かつてのように成約賃料のばらつきが少なくなり、相場から大きく外れた価格で取引されることはほとんどなくなってきました。つまり、適正な価格設定を行わない物件は、空室期間が長期化するリスクが高まっているということです。

このような背景から、不動産賃貸経営で収益を最大化するには、相場に合わせた適正な賃料設定をおこない、空室期間を短縮するための対策が非常に重要です。




空室期間を短くするための空室対策


賃貸物件の空室期間を短くすることは、オーナーにとって収益の最大化に直結します。そのために、空室対策として、物件供給を一つの「サプライチェーン」として捉える考え方が有効です。ここでは、サプライチェーンマネジメントの手法を賃貸不動産に応用する方法をご紹介します。



サプライチェーンマネジメントとは?


サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、商品やサービスを消費者に届けるための全プロセスを効率化し、コストを削減しながら納期を短縮し、売り上げの拡大を図る管理手法です。製造業や流通業でよく用いられていますが、この考え方は賃貸アパートマンションの空室対策にも適用できます。




SCM視点で考える空室対策アイデア


部屋の退去から新しい入居者が決まるまでの一連の流れを一つのプロセスとして考えると、SCMの手法を使って空室期間を短縮することが可能です。
ここでは、退去から次の入居までの期間を「リードタイム」とし、これを短くするための対策をいくつか紹介します。



・原状回復、リフォーム工事の標準化


原状回復の工事内容をあらかじめ決めておくことで、工事を始めるまでの時間を短縮し、品質トラブルを避けることができます。



・退去決定後、即座に募集情報を共有し先行募集


退去が決まった段階で、募集関係者にスムーズに情報共有し、先行した募集ができる体制を整えます。例えば、潜在的な顧客に募集を予告する、退去後の募集を最短スタートできるように募集準備を先行するなどの具体的対策が考えられます。



・契約書類を事前に準備


工事内容が決定、もしくは募集が始まると同時に、契約書類の準備を始めることで、申し込みから契約締結までの期間を短縮できます。あらかじめひな型を仲介会社や検討者に共有できていれば、契約トラブルを避ける対策にもなります。特に居住用賃貸不動産の場合、事業用物件や売買物件と比較して、契約条項や重要事項説明書の定型化が容易です。



・審査業務の定型化・効率化


入居者の審査プロセスを効率化・定型化し、迅速に対応できる体制を整えることで、無駄な時間を減らします。






株式会社市萬
中小企業診断士 宅地建物取引士 2級ファイナンシャルプランニング技能士


山村 諭史