賃貸経営を取り巻く環境が大きく変化 変化を知ることが安定経営への第一歩


賃貸経営を取り巻く環境が大きく変化 変化を知ることが安定経営への第一歩



賃貸経営を取り巻く環境が大きく変化 変化を知ることが安定経営への第一歩



賃貸経営は、長ければ80年続く長期的な事業です。その間には、物価や金利、税制、入居者ニーズなど、経営を取り巻く環境が大きく変化します。以前は最適だった経営判断が、これからも最適とは限りません。


大切なのは、環境の変化を正しく把握し、その時代に合った経営へ柔軟に対応することです。


今回は以下の4つの環境変化とその対応についてお伝えします。


  1. 金利
  2. 蛍光灯
  3. エアコン
  4. アスベスト検査

1. 金利


日本の政策金利の推移。1980年から2025年まで、長期間の低金利推移の後に近年上向く傾向を示すグラフ
日本の政策金利の推移 出典:日本銀行 ※1995年3月までは公定歩合、その後は無担保コール翌日物レート(月中平均)

長い間低い水準で推移していた金利が、近年は動き始めています。今後の金利がどうなるかを予測することはできませんが、環境が変化していることは事実です。これからは、「金利は変化するもの」という前提で賃貸経営を考えていくことが重要です。


環境の変化とリスク


環境の変化放置すると・・・
修繕費・設備価格・人件費・借入金利の上昇
  • 修繕費や金利の上昇により、気づかないうちに収益が圧迫され、「現状維持」のつもりでも実質的な収益低下につながる可能性がある
  • 「何もしないこと」が将来の収益低下につながる可能性がある

●オーナーが今できる対策

賃料の改定(エリアや間取りによって賃料アップが可能 ①更新時 ②新規契約時)


40年間の手取り収益、税引後キャッシュフロー累計の比較。現状維持、インフレに対し賃料改定を行わない場合、賃料改定で対策した場合の3本の推移を示すグラフ
【40年間の手取り収益(税引後キャッシュフロー累計)の比較】

<賃料の見直し実績>
(当社管理物件実績 2025~2026年)
◆更新時の賃料改定 賃料を平均5%改定した結果、67%の入居者が同意
◆新規募集時の賃料改定 ・東京23区 :平均10~12%アップ ・その他エリア:平均7~9%アップ (物件・立地・設備状況により異なる)


「何もしないこと」が、これから最も大きなリスクになる時代です。


2. 蛍光灯


環境の変化とリスク


環境の変化リスク事前に対応するメリット
2027年末
一般照明用蛍光灯の製造・輸出入が終了予定
  • 蛍光灯や交換部材の価格上昇
  • 在庫不足により交換まで時間を要する可能性
  • 省エネによる電気代の削減
  • 長寿命による維持管理コストの削減
※蛍光灯:2~4年で交換 LED照明:10~13年交換不要

●オーナーが今できる対策

2027年を待たず、計画的なLED化を検討


3. エアコン


環境の変化とリスク


環境の変化リスク事前に対応するメリット
2027年4月から
省エネ基準の強化によるエアコン価格の上昇
  • 駆け込み需要による価格上昇、工事期間の延長
  • 本体価格や交換工事費の上昇(本体価格は約30%増の見込み)
  • 交換工事の遅れによる入居者クレーム
  • 早期交換で交換費用の上昇を回避
  • 入居者クレームの回避
  • 入居者の電気代削減

●オーナーが今できる対策

一般的な寿命(約15年)や故障を迎える前に計画的に更新することで、結果的にコストを抑えられる可能性あり


4. アスベスト


環境の変化とリスク


環境の変化リスク事前に対応するメリット
2023年10月から
有資格者によるアスベスト調査と報告が義務化
  • 対象となる工事では、着工前に有資格者による調査が必要
    →原則2006年9月以前に着工した建築物の解体・改装
  • 調査でアスベストが検出された場合は飛散防止工事が必要
  • 工事開始後の追加費用を抑えやすい
  • 工期の遅延を防ぎやすい
  • 法令違反のリスクを回避できる
  • 安全・安心な工事につながる

●オーナーが今できる対策

対象となる建物を保有している場合は、事前に調査を行い、将来の改修工事に備え必要に応じた対策工事費をあらかじめ想定しておく


建物の築年数や設備の状況、借入内容などによって、最適な対策は異なります。また、環境の変化はすべての物件に同じ影響を与えるわけではありません。だからこそ、物件ごとに優先順位を整理し、計画的に取り組むことが重要です。早めの準備が、将来の費用負担やリスクの軽減につながります。


当社では、お預かりしている物件ごとの状況を確認し、オーナー様の将来計画も踏まえながら、優先順位を整理したうえで最適なご提案を行っています。
変化を恐れるのではなく、変化を味方につけることが、これからの賃貸経営の成功につながります。


モノの値段が上がるインフレ時代にキャッシュフロー維持のためにできること


モノの値段が上がるインフレ時代にキャッシュフロー維持のためにできること



モノの値段が上がるインフレ時代にキャッシュフロー維持のためにできること



インフレ時代に大規模修繕費の増加が顕著


モノの値段が上がっていると実感している方は多いのではないでしょうか。今、モノの値段の上昇に伴い、修繕費も値上がりが顕著です。左のグラフを見るとわかるように、マンションの大規模修繕工事の費用は2019年から2025年にかけて26%も上昇しています。特に、2023年から2025年の伸び幅が大きく、過去最大の伸び幅になっています。


修繕費の上昇と建築費指数の推移を示すグラフ

修繕費の上昇と建築費指数の推移(国土交通省・一般財団法人経済調査会資料を基に作成)


修繕費上昇の要因は多岐に渡っている


修繕費が上昇している要因には複数あります。円安やエネルギー価格の上昇による資材の高騰や人件費の上昇などは大きな要因ですが、それ以外にも、政策金利の上昇や大規模修繕の需要が増えていることも要因になっています。


今、バブル期に建てられた建物が築30年を迎え、配管工事や設備交換の時期にきています。しかし、人材不足もあり、工事会社を確保することが難しくなっています。そのような状況の中、施工会社がより条件の良い事業を選ぶケースも増え、価格が上昇しているという現状があります。


今後の価格上昇を見据え、前倒しでコストを抑える


修繕費の増加はキャッシュフローの悪化につながります。そして、修繕費の上昇は今後も続くと予測されます。少しでもコスト増を抑えるためには、「前倒し」で取組むことです。「今やるべきか迷っている」「1〜2年後には実施しないといけない」そのような修繕があるのであれば、後ろ倒しにせず、早めに実施することをおすすめします。


特に、防水工事、外壁工事、給排水管工事、設備交換(エアコン、給湯器、ポンプ等)などは先送りにすることで工事費用が膨らんだり、被害が大きくなり追加コストがかかったりします。実際、設備メーカーからは価格改定のお知らせが頻繁にきています。ぜひ、築年数や劣化度合い、修繕計画などを確認し、優先順位を決めて取組みましょう。安易に前倒しすると、長い目で見たときにコスト増になる可能性があるので注意が必要です。何から始めればよいかお悩みの場合は、ぜひ、ご相談ください。



上地 真子


株式会社市萬賃貸事業部 宅地建物取引士


上地 真子


築古物件の満室経営をサポートします


「築年数が古い」「駅から遠い」など、さまざまな問題を抱えた賃貸不動産の課題を分析し、満室化に向けた提案を行う。




築30~40年超えの賃貸不動産オーナー様 あと何年活用するか、お考えですか?



築30~40年超えの賃貸不動産オーナー様 あと何年活用するか、お考えですか?








記事のまとめ



  • 築30~40年を超えた賃貸不動産は、修繕費や設備更新の負担が増えやすく、今後の活用方針を見直すタイミングです。

  • 選択肢は大きく「保有(長期活用)」「建替え」「売却」の3つ。それぞれ収支、修繕リスク、相続、承継などでメリット・デメリットがあります。

  • 最適な判断には、物件の状況、市場マーケット、ご家族の想いを整理し、長期的なキャッシュフローシミュレーションで比較検討することが重要です。




目次



  1. 築30~40年を超えた賃貸不動産で考えたいこと

  2. 「保有(長期活用)」「建替え」「売却」3つの選択肢

  3. 1. 保有(長期活用)

  4. 2. 建替え

  5. 3. 売却

  6. 3つの選択肢の比較

  7. 最適な選択のために確認したい3要素




築30~40年を超えた賃貸不動産で考えたいこと



築年数が経過した建物をお持ちのオーナー様、ご所有不動産をあと何年活用するかお考えですか?



築30~40年を迎えた建物は、修繕費の負担が重くのしかかってきます。支出が増え、これまで以上に経営に不安を感じ始めるオーナー様も多いのではないでしょうか。ですから、ここでもう一度、今後の賃貸経営について考える必要があります。



賃貸不動産の運用方法、つまり目指すべきゴールには、大きく3つの選択肢があります。そして、何を選択するかで今やるべきことは変わります。ご自身が目指すゴールはどこなのか、どこを目指すのが最適なのか。その判断にはいくつかの要素を踏まえる必要があり、専門的な知識が必要になることもあります。ぜひ、専門家のサポートを受けて納得のいく選択をしてください。



「保有(長期活用)」「建替え」「売却」3つの選択肢



これまで、築年数が経過した賃貸不動産のゴールは「建替え」が一般的でした。しかしながら、今は築年数が経過したからといって「建て替える」と単純に決められる時代ではなくなっています。



「保有(長期活用)」「建替え」「売却」の3つの選択肢を比較し、最適な方法を選択してください。



1. 保有(長期活用)



修繕・改良を加えながら、今の建物の長期活用を目指す方法です。RC造なら築80年まで活用が可能です。





メリット



  • 長期的に考えると、建替えより収支が良い場合がある(一部エリアを除く)。

  • 借入金完済後のキャッシュフローが良い。




デメリット



  • 継続的に建物や設備の不具合、修繕が発生する。




こんな方に向いています



  • 借入を増やしたくない方。

  • 長く安定して収益を得たい方。





2. 建替え



既存建物を解体して建物を新築し、再スタートする方法です。RC造であれば、ここから80年間の活用が可能です。





メリット



  • 新しい需要にあわせられる。

  • 修繕リスクをいったんリセットできる。

  • 相続税対策になる。




デメリット



  • 初期投資が大きい(解体費含む)。

  • 保有(長期活用)より収支が悪くなる場合がある(一部エリアを除く)。




こんな方に向いています



  • 大きな相続税対策が必要な方。





3. 売却



不動産を売却し現金に換えることで、相続税や借入金の返済に充てることが可能です。





メリット



  • まとまった現金を確保できる。

  • 相続時に分割しやすい。




デメリット



  • 定期的な安定収入がなくなる。

  • 相続税評価額が高くなる。




こんな方に向いています



  • これ以上賃貸経営をする意思がない、または承継者がいない方。

  • 修繕や建て替えに大きなお金をかけたくない方。





3つの選択肢の比較



保有(長期活用)、建替え、売却は、それぞれ効果や注意点が異なります。収入、用途の自由度、管理の手間、借入負担、相続税、資産価値などの観点から比較し、どの方法がご自身の状況に合うかを検討しましょう。




保有、建替え、売却の3つの選択肢を比較した表

保有(長期活用)・建替え・売却の比較



最適な選択のために確認したい3要素



最適な選択をするためには、物件の状況(内部環境)や市場マーケット(外部環境)、ご家族の想い(価値観)などの要素に加え、長期的なキャッシュフローシミュレーションで事業性を確認しながら比較検討することが成功へのカギとなります。




物件の状況、市場マーケット、ご家族の想いを踏まえて最適解を検討する図

最適な選択のために確認したい3要素




どのように決めたらよいのかわからない方、より適した選択をされたい方、気になる方はご相談ください。



エアコン、蛍光灯、そのままで大丈夫? 2027年問題到来で問われる対応力


エアコン、蛍光灯、そのままで大丈夫? 2027年問題到来で問われる対応力










環境規制がもたらす「2027年問題」


最近、蛍光灯の生産終了やエアコンの省エネ基準の厳格化による「2027年問題」が話題になっています。いずれも2027年実施予定とされていますが、背景にあるのは、環境負荷低減に向けた国際的な規制強化です。水銀を含む蛍光灯は、環境や人体への影響を抑える目的で製造・輸出入が段階的に廃止され、エアコンについては省エネ性能の基準が引き上げられ、基準を満たさない製品の製造・販売が2027年以降減少していきます。地球環境への配慮を目的としたこれらの動きに、賃貸不動産オーナーの対応が求められます。









コスト増と対応遅れが招く賃貸経営リスク


2027年問題の影響でまず考えられるのは、設備更新にかかるコストの増加です。エアコンは省エネ性能向上に伴い本体価格が上昇すると見込まれ、蛍光灯についても器具ごと交換が必要な場合には、数万円単位の費用が発生するケースも。これまでよりも費用が掛かることは否めません。さらに、駆け込み需要などによる製品不足により「すぐに交換できない」リスクも高まります。特にエアコンは夏場の故障時に迅速な対応が必要です。蛍光灯も、特殊な型番ではすでに製造を中止しているものもあります。対応の遅れは入居者満足度の低下や退去、不必要な出費、物件の印象悪化やクレームの原因となります。





今すぐ始めるべき計画的な設備更新対策


対策として重要なのは、現状把握と計画的な更新です。まずは設備の棚卸しを行い、どこに蛍光灯が使用されているのか、エアコンの年式は何年か確認しましょう。築年数が古い物件では、キッチン・天井照明・共用廊下・外構などに蛍光灯が使われているケースが多いです。エアコンは一度に交換するのはコストがかかりますが、計画的な実施でコスト負担を平準化できます。エアコンの交換時期は設置後15年前後が一つの目安です。交換時期が近くなったエアコンは、原状回復工事に合わせて段階的に交換すると効率的です。「まだ先の話」と思わずに、2027年を見据え、早めに準備を進めることが、安定した賃貸経営につながります。








株式会社市萬賃貸事業部 宅地建物取引士


上地 真子


築古物件の満室経営をサポートします


「築年数が古い」「駅から遠い」など、さまざまな問題を抱えた賃貸不動産の課題を分析し、満室化に向けた提案を行う。




変化の時代、賃貸経営にも備えが必要 後手に回らないための事前対策を


変化の時代、賃貸経営にも備えが必要 後手に回らないための事前対策を










賃貸オーナーを取り巻く環境変化


賃貸不動産オーナーを取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。既に2023年より義務化されている有資格者によるアスベスト(石綿)の事前調査や蛍光灯やエアコンの2027年問題、さらには円安や戦争による物価や人件費の上昇など、さまざまな要因が経営に影響を及ぼし始めています。









共通するリスク:コスト増と資材確保の難しさ


これらの変化に共通しているのは、「コストの増加」と「設備や資材の確保が難しくなるリスク」です。円安や戦争など、事前の対策が難しいものもありますが、できることはあります。重要なのは、こうした変化を事前に把握し、計画的に備えることです。





後手に回らないための事前対策


例えば設備の更新時期や修繕計画の見直し、コスト増に備えるための資金の確保など、早めに対応することで、コストの平準化とリスク回避が可能になります。従来のように不具合が発生してから対応していては、想定外の出費や入居者満足度の低下につながる可能性があります。制度が変わる前に、事前の対策を検討し始めましょう。


今まさに、新たな変化を前提とした賃貸経営への転換が求められています。何から始めてよいかわからない方は、是非、ご相談ください。








株式会社 市萬賃貸事業部 二級建築士・宅地建物取引士


下田 晃大




大規模修繕は「費用」ではなく未来の家賃を得るための「投資」です


大規模修繕は「費用」ではなく未来の家賃を得るための「投資」です










賃貸経営をしていると、多くのオーナー様が頭を悩ませる「大規模修繕」。多額の費用が発生する大規模修繕を先延ばしにしたいとお考えのオーナー様も多いことでしょう。ですが、大規模修繕は「費用」ではなく、入居率や賃料を守るための「投資」です。外壁や防水、鉄部、共用部の劣化を放置すると、見た目の印象が下がり不具合が増えます。その結果、空室が増えて収入が減少し必要な修繕ができず、さらに入居率が悪化する、という悪循環に陥りがちです。計画的に修繕を行い建物状態を良好に保つことで、築年数を重ねても選ばれやすくなり、入居率の安定と賃料水準の維持につながります。







大規模修繕とは



足場を組むなどして、建物全体に関わる修繕工事のことです。日常的な不具合対応(小規模修繕)とは異なり、外壁・屋上防水・鉄部・共用部などの劣化をまとめて改善し、建物を長期にわたり安全・快適に維持する目的で、周期的に計画して実施します。



建物は長く活用できる



建物の寿命について、よく「法定耐用年数」という考え方を耳にすることが多いのではないでしょうか。しかしこれは融資や税金計算のための年数であり、実際に建物が利用できる年数とは異なります。当社では、建物をどのくらいまで活用していくのかについて、以下の表のとおり目標を定めています。建て替えより長期活用の方がオーナー様にとってメリットが大きいことから、それを実現する管理運営を行っています。







大規模修繕の費用の目安



気になる大規模修繕費用は建物の構造・規模によって異なります。目安として、構造と間取りタイプ別の1戸当たりの大規模修繕費用をお伝えします。







目で見てわかるチェックポイント



一般的に大規模修繕は20年ごとの実施が目安となっています。その他、以下のような症状が見られた場合も、大規模修繕の実施時期の判断材料となります。気になる症状を見つけたら、管理会社や施工会社に早めに相談してみてください。