歴史的・文化的に価値ある住宅「住宅遺産」の持続的な継承を目指

貴重な住宅建築を後世に残したいという思いで設立された「一般社団法人住宅遺産トラスト」。

「日本は中古住宅のマーケットが欧米諸国に比べて未熟です。築30年も経つと、建物はどんどん壊されてしまいます。中には著名な建築家が設計した建物や登録有形文化財に指定されている建物など、貴重な建物もあります。」と住宅遺産トラストの木下さん。

相続による相続税の支払いや資産の分割、あるいは高齢になって住めないなど、売却理由はさまざまですが、その後にはマンションが建築されたり、区画分けされて一戸建てが建てられたり……。貴重な建物が失われるだけでなく、その技術や街の景観も失われてしまいかねません。

建物を壊すことなく、建物の価値を理解して引き継いでくれる「継承者」と所有者をつないでいるのが住宅遺産トラストです。

設立から15年を迎え、手掛けた住宅は20軒あまり。築20年といった比較的新しい物件から、築100年を超える物件まで、戦後モダニズム建築をはじめ、江戸時代の建物もあるとか。今も常に10軒近い建物の相談にのっているそうです。

課題も残ります。「手入れすれば、建物は100年持ちます。政府は100年住宅などと言いながら、まだまだ中古流通の仕組みは整っていません。また、建物の解体はSDGSの観点からもムダが多いと言えます。物件の評価制度などの法整備も必要です」と木下さん。

さて、継承された建物ですが、住居用、セカンドハウス、賃貸や民泊、撮影場所として活用されているそうです。

お話を伺った方

一般社団法人 住宅遺産トラスト

理事 木下壽子さん(左から吉見さん、木下さん)

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