滞納や空室だけではない?賃貸経営に潜むリスクと対策
- 賃貸経営
賃貸経営には長期安定収入、相続時の評価減等さまざまなメリットがあります。ですが、その裏にはリスクも潜んでいることに気づいていますか?リスクを放置することで、大きな損失につながることもあります。
リスクを最小限に抑えるためには、リスクに備えた準備が必要です。どのようなリスクがあるかを把握し、必要な対策をしておくことが、より多くの賃貸経営のメリットを活かすことにつながります。
長期的な賃貸経営の成功のためにリスクを知り、その備えをしておきましょう。
賃貸経営に潜むリスクとは?
《専門家に聞く》建物の事故や損害に備えるための保険とは
不動産経営のリスクをゼロにすることは難しいですが、事前対策により、その影響を抑えることができます。特に、建物の事故や損害は、保険を活用することで損害を抑えることが可能です。
例えば、老朽化により剥がれ落ちた外壁が通行人を直撃してけがをさせた場合、通行人に対して損害賠償が発生することがあります。このような場合、火災保険の施設賠償責任特約を結んでいれば、損害賠償金は保険会社の支払い対象となります。また、特殊清掃の費用なども、家主費用保障の特約を結んでいれば、保険会社が支払います。
保険金額だけでなく、どのような時に保険金が支払われるのかを確認し、必要な保険や特約を上手に活用することで、そのようなリスクに対応することが可能です。
もちろん、ご自身でできる定期的な修繕などで事故そのものを防ぎつつ、万一のときには保険を活用し損害を最小限に抑えるといった両輪でリスク対策を行うことが、保険料の無駄を防ぐとともに安定した賃貸経営を続けることにつながります。以下に、賃貸オーナーに役立つ保険を表にしましたので参考にしてください。
株式会社F.L.P ファイナンシャルプランナー
佐藤和士氏
2008年に保険相談サロンFLP入社。業界でのキャリアは17年以上。店長を歴任後、現在は店舗運営や人材育成を担う。生命保険・損害保険を活用したリスク対策、賃貸物件オーナー向け火災保険の最適化、賃貸経営における保険活用等を得意とする
《専門家に聞く》認知症に備える家族信託
認知症や植物状態などで意思能力がないと診断されると、日常生活以外の契約行為ができなくなります。そのリスクに備えるのが「家族信託」です。これは、ご自身が元気なうちに信頼できる親族などに財産の運用方法を指定しつつ、管理や処分を託すことができる制度です。契約のタイミングは意思能力があるうちとなります。
メリット
・自由に信託内容を設計できるので、自身の意思を反映できる
・後見制度と異なり、裁判所等、第三者の関与がない
デメリット
・初期費用が必要(書類作成等費用)
・財産管理事務に当たらない介護・医療契約ができない
なお、意思能力がないと診断されてしまった場合には、法定後見人という制度がありますが、第三者の関与やお金の使い方などに制限が出る場合があります。
司法書士法人サン合同事務所 司法書士
関本隆人氏
中央大学法学部法律学科卒業。2008年に司法書士試験に合格し、2011年に司法書士法人サン合同事務所所入所、現在に至る。不動産登記をはじめ、遺産相続や財産分与による登記、抵当権の抹消などを行う