空室期間の短縮にこだわる。他業界のプロセス管理手法を応用した空室対策アイデア

「賃貸アパート・マンションの空室期間をなるべく短くしたい」
「空室期間短縮のために、他にできる対策はないだろうか」

本記事では、製造業や物流業で用いられるサプライチェーンマネジメントを参考に、プロセスの最適化を通じて空室期間を1日でも短縮するための空室対策アイデアを紹介します。

業界の既成概念にとらわれず、他業界の経営手法を取り入れることで、新たな効果的なアイデアが生まれる可能性があります。

賃料設定にこだわるか。空室期間にこだわるか。

賃貸アパート・マンションの収入は「賃料 × 入居率」で決まります。

理想をいえば賃料も最大限に高く、且つ、空室期間も短いことが望ましいですが、一般的には家賃条件と空室期間はトレードオフの関係になります。つまり、一方を追求するともう一方を犠牲になるという、二律背反の状態になりやすいということです。

例えば、募集賃料を高く設定しても、入居が得られず空室が長く続いたり、早期の退去に繋がると、入居率が低下して、結果的にトータルの収入は減少します。逆に、賃料を低めに設定すれば入居は早まるかもしれませんが、あまりにも安すぎると、収益全体が低減するリスクもあります。

このバランスの取り方はオーナーごとに異なりますが、賃貸不動産経営においては、賃料と入居率の調整が、トータルの収益を左右する非常に重要な判断となります。

賃料は相場に合わせ、入居率を高める空室対策を

最近では、インターネットの普及により、消費者が物件の価格情報を手軽に入手できるようになりました。不動産ポータルサイトや相場情報サイトの増加で、賃料相場の透明性が飛躍的に向上し、賃料に対する市場の理解が深まっているということです。

そのため、特にアパートやマンションなどの居住用賃貸物件では、かつてのように成約賃料のばらつきが少なくなり、相場から大きく外れた価格で取引されることはほとんどなくなってきました。つまり、適正な価格設定を行わない物件は、空室期間が長期化するリスクが高まっているということです。

このような背景から、不動産賃貸経営で収益を最大化するには、相場に合わせた適正な賃料設定をおこない、空室期間を短縮するための対策が非常に重要です。

空室期間を短くするための空室対策

賃貸物件の空室期間を短くすることは、オーナーにとって収益の最大化に直結します。そのために、空室対策として、物件供給を一つの「サプライチェーン」として捉える考え方が有効です。ここでは、サプライチェーンマネジメントの手法を賃貸不動産に応用する方法をご紹介します。

サプライチェーンマネジメントとは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、商品やサービスを消費者に届けるための全プロセスを効率化し、コストを削減しながら納期を短縮し、売り上げの拡大を図る管理手法です。製造業や流通業でよく用いられていますが、この考え方は賃貸アパートマンションの空室対策にも適用できます。

SCM視点で考える空室対策アイデア

部屋の退去から新しい入居者が決まるまでの一連の流れを一つのプロセスとして考えると、SCMの手法を使って空室期間を短縮することが可能です。
ここでは、退去から次の入居までの期間を「リードタイム」とし、これを短くするための対策をいくつか紹介します。

・原状回復、リフォーム工事の標準化

原状回復の工事内容をあらかじめ決めておくことで、工事を始めるまでの時間を短縮し、品質トラブルを避けることができます。

・退去決定後、即座に募集情報を共有し先行募集

退去が決まった段階で、募集関係者にスムーズに情報共有し、先行した募集ができる体制を整えます。例えば、潜在的な顧客に募集を予告する、退去後の募集を最短スタートできるように募集準備を先行するなどの具体的対策が考えられます。

・契約書類を事前に準備

工事内容が決定、もしくは募集が始まると同時に、契約書類の準備を始めることで、申し込みから契約締結までの期間を短縮できます。あらかじめひな型を仲介会社や検討者に共有できていれば、契約トラブルを避ける対策にもなります。特に居住用賃貸不動産の場合、事業用物件や売買物件と比較して、契約条項や重要事項説明書の定型化が容易です。

・審査業務の定型化・効率化

入居者の審査プロセスを効率化・定型化し、迅速に対応できる体制を整えることで、無駄な時間を減らします。

株式会社市萬
中小企業診断士 宅地建物取引士 2級ファイナンシャルプランニング技能士

山村 諭史

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